40代から意識したい「オーラルフレイル予防」

こんにちは。
湘南台中央デンタルクリニック、院長の節です。
「オーラルフレイル」という言葉をご存じでしょうか?
オーラルフレイルとは、簡単にいうと「お口の機能の衰え」のことです。
今回は、11月8日の「いい歯の日」にちなんで、健康長寿の鍵となるお口の健康についてお話しします。
「いい歯の日」に知る!8020(ハチマルニイマル)運動の現状
11月8日は「いい歯の日」です。日本歯科医師会が「いつまでも美味しく、楽しく食事をとるために、お口の健康を保ってほしい」という願いを込めて制定しました。
また、厚生労働省とともに「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」という「8020(ハチマルニイマル)運動」を推進しています。この達成者は年々増加しており、令和6年歯科疾患実態調査によると、8020達成者は61.5%となりました。
40代から始まる「お口の衰え」
歯を残すことの重要性が広く認識され、8020運動による成果が見られる今、次に注目されている課題が「口腔機能の維持」です。実は「噛む」「飲み込む」「話す」といった、基本的な口腔機能は40代ごろから徐々に衰え始めるといわれています。
次のような症状に心当たりはありませんか?
- お口の中が汚れている
- お口の中が乾くようになった
- 食べ物がお口に残るようになった
- 滑舌が悪くなったり、食べこぼすようになった
- 薬を飲みにくくなった
- 硬いものが食べにくくなったり、食事の時間が長くなった
- 食事のときにむせるようになった
これらはオーラルフレイルのサインです。放置すると、将来的に食事をすることが難しくなり、栄養状態の悪化にもつながります。その結果、全身の筋力の低下や要介護状態になるリスクが高くなるなど、口腔以外にも影響が表れます。
オーラルフレイルの予防法
噛める歯を残す
むし歯や歯周病は、歯を失う大きな原因です。毎日の丁寧な歯みがきと、歯科医院での定期的な検診が欠かせません。歯を失ってしまった場合は、入れ歯などで補うようにしましょう。
栄養バランスの良い食事をとる
年齢を重ねると硬いものが噛みにくくなり、軟らかいものに偏りがちです。魚や肉、野菜などさまざまな食材をバランス良く食べることを心掛けましょう。
お口周りの筋肉を鍛える
よく噛んで食べたり、唇や舌、頬をよく動かすことが大切です。会話の際に意識すると、自然とお口周りの筋肉が鍛えられます。
喫煙・過度な飲酒は控える
喫煙や過度な飲酒は、口腔の乾燥にもつながり、むし歯や歯周病のリスクを高めます。身体と口腔のために、できるだけ控えることをお勧めします。
口腔機能の維持で得られる5つのメリット
口腔機能の維持(オーラルフレイル予防)に取り組むことで、次のようなメリットが期待できます。
- 寿命が延びる可能性がある
歯の本数が多い人ほど健康寿命が長い傾向があることが、研究で明らかになっています。 - 食事がより楽しくなる
よく噛むことで唾液が分泌され、味を感じやすくなったり、食感(舌触りや歯ごたえ)を楽しめるようになります。 - 口腔内を清潔に保ちやすくなる
よく噛むことで唾液の分泌が増え、口腔内をきれいに保つ自浄作用が高まります。 - 認知機能の維持に役立つ
噛むことで脳が活性化され、認知機能の維持にも役立ちます。 - 転倒しにくくなります
口腔機能が低下すると、歯がなくなるなどが原因で、しっかりとかみしめることが困難になります。これにより、体のバランスが崩れやすくなるため、口腔機能を維持することは転倒リスクの軽減にもつながります。
オーラルフレイルと「口腔機能低下症」の違いは?
口腔の機能低下には段階があります。それぞれの違いを理解することで、早期発見・早期対応につながります。
- オーラルフレイル
お口の機能が徐々に衰えていく状態(滑舌が悪くなる、むせるなど) - 口腔機能低下症
オーラルフレイルがさらに進んだ状態。7つの項目(口腔衛生状態、口腔乾燥、咬合力、舌や唇の運動機能、舌圧、咀嚼機能、嚥下機能)で評価し、そのうち3つ以上に該当すると「口腔機能低下症」と診断されます。
つまり、オーラルフレイルは口腔機能が衰える「サイン」であり、口腔機能低下症は具体的な「診断名」と考えていただくとわかりやすいでしょう。
当院でできるオーラルフレイル予防・改善法
オーラルフレイルの早期発見・改善のため、当院では専門的なサポートを行なっています。
50歳以上の方は保険適用で「口腔機能検査」を受けることができ、この検査結果に基づき、改善のためのリハビリプログラムをご提案しています。
また、ご自宅で実践できる口腔ケアの方法やトレーニング動画もご用意していますのでお口の衰えが気になる方はご相談ください。なお、50歳未満の方でも自費で検査を受けることが可能です。
ご高齢のご家族に、今回ご紹介したような症状が見られる場合は、早めの受診をお勧めします。
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